「会社でうまくいかない、今すぐにでも辞めたい。転職活動は退職後にゆっくりやろう。」
そう思っている方は、少しだけまってください。気持ちは非常によくわかりますが、退職後の転職活動は非常にリスクが高く、オススメできません。どうしても会社を今すぐにでも辞めないといけない理由がない限りは、会社に所属しながら転職先を探したほうがよいでしょう。
とはいえ「なぜ在職中に転職活動を進めておかないといけないの?」と考えている方のために、この記事では退職後に転職活動を始めることのリスク・危険性についてご紹介します。
目次
会社を辞めた後に転職活動を進めるリスク
会社を辞めた後に転職活動を進めることで生まれるリスクは、下記の通りです。
- 経済的リスク
- 職歴上のリスク
- 勤めている会社と志望企業との比較ができなくなるリスク
一つ一つ確認していきましょう。
経済的リスク
退職後、すぐに転職をしない場合は失業保険を一定期間の間もらうことができます (期間は雇用保険に加入した年数に応じます)。とはいえ、自己都合での退職の場合はどんなに長くとも5ヶ月しかもらうことができません。もちろん、もらえる金額も勤めていた時よりも少額であるケースがほとんどです。
転職活動は一般的に「50万円程度」の費用がかかると言われています。内訳でいうと交通費や宿泊費、また地味に履歴書や証明写真などにも費用はかかってきますので、細々と支出はかさみます。
独り身であっても自身の貯金が目減りしていく現状には焦りを持つでしょうし、家族がいる方の場合は一層その気持ちは強いことでしょう。しかし、そういった経済的な焦りを覚えれば覚えるほど転職活動にもよくない影響を与え、場合によっては希望とは違う企業で妥協してしまうという可能性も。
職歴上のリスク
転職活動時に職務経歴書の提出はほとんどの企業で求められます。その際、会社を辞めてから転職先が決まるまでの時間が長引けば長引くほど、職歴上のブランクが生まれることになります。必ずしもそこがネガティブな影響になるわけではありませんが、転職面接時に面接官から突っ込まれる可能性は大いにあるでしょう。
転職活動にかかる期間は、2ヶ月以上の方が63%とのアンケート結果も出ており、ある程度時間がかかるという前提を踏まえておいた方が良いといえます。
勤めている会社と志望企業との比較ができなくなるリスク
人間関係や精神的な健康上の問題で、今の会社はどうしても辞めたい!というケースはともかく、キャリアアップを求めて転職を検討している方は、退職してからの転職活動を行う場合『比較検討』ができないことが大きなリスクと言えます。
キャリアアップを考えたり、働き方を変えたいという場合、転職活動だけが方法ではありません。今の会社に残り続け、部署の異動や、取り組む仕事を変えるといった行動を通して実現できることはたくさんあります。
転職活動を退職後に行ってしまうと、そういった「今の会社の残り続ける道」をなくした状態になってしまいますので、本当に望ましい選択をできなくなっってしまう可能性があります。
会社を辞めた後に転職活動を行うための備え
さて、ここまで転職活動を会社退職後に行うことのリスク・デメリットについてご紹介しました。ただし、どうしてもまず会社を辞めて、その後転職活動を進めたい…そう考えている方にやっておいて欲しい『備え』をお伝えします。
転職活動の初期準備だけは進めておく
転職活動の初期は、基本的に情報収集や転職エージェントへの相談などが中心になることと思います。転職活動で本当に時間がかかってくるのは職務経歴書の準備・精査や具体的な選考対策を始める頃ですので、その前段階に関しては会社に残っているうちに始めてもよいのではないでしょうか。
また、転職エージェントであれば、紹介してくれる求人先の企業が「何月入社の人を求めているのか」を知っていると思いますので、退職後に転職活動を進める…といったスケジュール感に合う求人をピックアップしておきましょう。選考そのものが長い企業もありますので、その点も要注意。
在職中に転職活動を進めるコツ
「在職中に転職活動を進める方がリスクが少ない!」と言いつつ、一方でその進め方だとその分在職中の負担が出ることもまた確かです。ですので、転職活動を働きながら進める上でのコツと注意点に関してもここではご紹介します。
- サポートしてくれる存在を見つける
- 今勤めている会社と比較しながら転職活動を進める
サポートしてくれる存在を見つける
転職活動は、求人を見つけるところから選考スケジュールの設定、選考対策、内定後の事務手続きなどやることが非常にたくさんあります。これを仕事をしながら両立させるのは至難の技、ですので多くの転職検討者の方はサポートしてくれる存在として転職エージェントに頼っています。
もちろん、転職エージェントも様々種類があり、また担当者によっても質は変わるので一概に言えませんが、優秀な担当者と出会えたら転職活動は非常にスムーズに進むことでしょう。
今勤めている会社と比較しながら転職活動を進める
これはコツというよりは注意点になりますが、転職活動を進める場合は(会社を辞めてからだとこれができない…というお話は上述しましたね)。
転職活動をしたい、と考える時、今の会社への不満が原因となっている場合は多いことと思います。ただし、実際に転職した後に今の会社と同等以上のキャリアステップや満足を得られるかは未知数です。場合によっては「今の会社で働き続けること」の方が良い可能性もあります。自分が何のために転職をしようと思っているのかを整理し、最終的に転職する・しない、それぞれを選択肢として持ちながら転職活動に取り組んでみましょう。
また、転職エージェントはある種客観的な立場から転職希望者の今勤めている会社について評価を下してくれますので、「実は世間一般から考えるととても良い企業」と気づかされるケースもあります。そういった部分でも転職エージェントをうまく活用してみると良いかもしれませんね。
まとめ
会社を辞めてからの転職活動は、基本的にはリスクが大きく避けた方が良いもの…とご紹介しました。
もちろん、辞めてからの方がゆっくりと転職活動に取り組める!といった声もあることは重々承知ですが、一方で困った場合に取り返しがつかないことも、また事実です。できることなら、会社に所属しながら転職活動を進め、内定を獲得した後に退職を切り出す…といった流れで進められればベストと言えるでしょう。