「転職活動をする時に資格が有利に働く」そう思っている方も多いと思います。もちろん間違いではありませんし、有利に働くケースも多いでしょう。
しかし、どの資格でも有利に働くかと言えば、そうでもありません。自身のキャリアなどと照らし合わせて取得することが大きなメリットに繋がります。
本記事では、社会人におすすめの資格16選と資格をうまく活用した転職方法をお伝えしたいと思います。
目次
転職をするのに資格は有利?
有利不利ということで言うと不利になることはそこまでありません。しかし、必ずしも有利に働くかと言えば、正直クエスチョンマークが付きます。
スキルアップや転職活動を見据えて資格を取得している、またはしようとしている方は多いと思います。スキルアップのために社内で必要な資格や業界で必要な資格を取得することはとても良いことです。転職活動のためにと考えて取得したあるいは取得を目指していることについても同様に素晴らしい努力であり、基本的には実際に転職に役立つでしょう。
ただ、場合によっては活かし切れない資格もあります。
活かし切れない資格とは?
例えば、「経理部や経理募集中の企業に転職したい。→だから、日商簿記2級を取得」「保険業界への転職を機にファイナンシャルプランナー資格を勉強」など、何をしたいか?どこで活かすか?を明確にわかっている場合は、強みになります。
しかし逆に、「不動産業界に転職したい。→色彩検定を取得」「食品業界でのスキルアップのため宅地建物取引士(宅建士)を勉強」など、あまりリンクしていない資格を勉強しても活かし切れない可能性があります。
せっかく時間もお金も費やして取得した資格であれば、うまく活かす方が自身のためにもなります。ですので、うまく活用できるように資格の選択と活用方法をお伝えできればと思います。
おすすめの資格&スキル16選
まずは、社会人におすすめしたい資格&スキルをご紹介します。
MOS
MOSは「Microsoft Office Specialist」の略で、WordやExcel、PowerPointなど、いわゆるMicrosoft Officeで使用されるソフトのスキルを証明する資格です。
どこの企業に入っても基本的には、文章作成=Word、在庫や表管理=Excel、資料作成=PowerPointを用いているところがまだまだ多いので、スキルとして活かしやすい資格になります。
TOEIC / TOEFL
語学のスキルを測る基準として、国内で認知度が高いのがTOEIC / TOEFL。資格ではないので、名刺に記載したりということはできませんが、履歴書や面接等でもアピールのしやすいスキルになります。
点数の基準として、TOEICだと740点以上、TOEFLであれば80点以上を取ることでアピールがしやすくなります。(難易度ではTOEFLの方が難しく、国際基準で評価されやすい風潮もあります)
日商簿記検定
経理や財務の知識として求められる簿記。仕訳や財務諸表の分析などでも用いられ、どの業界でも使える汎用性の高いスキルになります。経理のイメージが強いですが、営業などでも財務の数字を見て判断できることで強みになりますので、アピールがしやすくなります。
ただし、評価されるのは基本的に簿記二級以上です。簿記三級ですと取得はしやすいですが、あまり転職に有利とは言えないのでその点は注意しましょう。
秘書検定
ビジネスマナーや幅広いビジネス知識を学ぶことのできる事務系全般の検定試験。どの業界にもマッチするスキルですので、業種問わず様々なシーンでの利用が可能。
「秘書」の名前から女性が取得することが多いイメージですが、ビジネスマナーやビジネス知識は男女問わず必要なスキルになりますので、男性が取得してもアピールできるスキルになります。
医療事務
医療機関の事務員として働くために必要な資格。カルテ管理やレセプト業務、医療従事者のサポートなどを行うことが可能です。
医療機関と言えば病院が思い当たるかと思いますが、その他にも、検診センターや健康保険組合、損害保険会社など幅広い機関で活用ができます。国内どこに居住しても活かせる資格なので、取得後職場に困ることはなさそうです。
介護初任者研修
介護に必要な基礎的な知識を証明できる「介護初任者研修」資格。(2013年4月までは「ホームヘルパー2級」という名前で知られており、ご存知の方もおられると思います)
「超高齢社会(65歳以上の人口の割合が全人口の21%を占めている社会)」と言われている日本において、介護の問題は切っても切り離せないところ。介護施設や老人ホームなど急速に増えている中で、介護の知識・スキルを持っていることはかなりのアドバンテージになります。
今後さらに超高齢社会が進むと言われている日本において、かなり需要の高いスキルになることは間違いないでしょう。
アロマセラピスト
病気や外傷の治療、病気の予防、心身の健康やリラクセーション、ストレスの解消などを目的としてアロマテラピーにおける知識を証明するための資格。
近年では、医療現場や介護関連、スポーツ施設などでも取り入れられており、活用の場が広がっています。独立開業しているところもありますので、セラピストの需要がより高まってくるでしょう。
ファイナンシャルプランナー
個人における資産運用やライフプランの設計、税金・保険の知識、不動産や相続など、お金に関わる知識を幅広く持っていることを証明できる資格。国家資格でもあるので、独立開業することも可能。
金融機関や不動産業界など活用できる幅が広く、また自身のライフプランの設計などにも役立つ資格です。
2級、3級については「ライフプランニングと資金計画」「リスク管理」「金融資産運用」「タックスプランニング」「不動産」「相続・事業承継」の6分野を一括で受ける必要がありやや試験範囲が広いですが、1級に関しては個別での受験が可能になります。
宅地建物取引士
宅地の売買や取引などを行うために必要となる「宅地建物取引士」。一般的には「宅建」と呼ばれることが多く、国家資格としても有名です。
宅地の売買などを行うことから不動産業界での需要が高いほか、金融機関などでも求められるスキルになります(不動産業を行う企業では、法律として宅建保持者を置く必要があります)。ですので不動産業界の方以外だとあまり馴染みがないかもしれませんが、学生時代に法律系を学んでいる方であれば関連した知識を既に持っているかもしれません。
通訳案内士
以前は「通訳ガイド」と呼ばれていた資格で、その名の通り、2ヶ国以上の言語を用いてコミュニケーションを図りながら、国内の案内業務を行うスキルになります。(ガイドだと理解してもらえれば問題ないです)
海外からの観光客に対して、日本の歴史や文化を伝える仕事で、近年どんどん需要が高まってきています。W杯やオリンピックの開催を見据え、外国人観光客の数も年々増加しており、学ぶタイミングとしてはかなり良いのではないでしょうか?
CAD利用者技術者試験
コンピュータによる設計支援ツールである「CAD(=Computer-Aided Design)」を使用し、作図などを行うための知識やスキルを証明できる資格です。
CADは設計を用いる業界で使用されるので、建築業界、自動車、電子機器など様々な業界で活用できる資格になります。また、近年では「3Dプリンター」で作りたいものを作図する際にも用いられており、活用の幅が広い資格と言えます。
また、作図の仕事は基本的にコンピュータを使って行いますので、在宅ワークや副業でのニーズも高まりそうなスキルです。男女問わず、「在宅で仕事がしたい!」という方には魅力的なスキルかも。
インテリアコーディネーター
室内全体のインテリアをコーディネートするプロフェッショナルの資格です。住宅設備の内装や照明、家具、ファブリックなど、住宅に関する幅広い知識を照明する資格になります。
住宅メーカーやデザイン事務所など、空間設計を手掛けている企業での需要が高く、住宅業界で働きたい方におすすめです。
管理業務主任者
マンション管理の業務をする際に必要になる資格です。マンション管理業務では必ず持たなければならない資格であり、契約時の重要事項説明や一定の書面に記入押印ができる国家資格になります。
マンション管理業務を行なっている不動産業界などへの転職はもちろん、国家資格ですのでマンション管理を手掛けるコンサルタントなどの道を歩んでいくことも可能です。
証券外務員
有価証券の売買や委託等、金融商品の販売や勧誘を行える資格です。金融機関に入る際には資格取得を求められる資格になります。金融関連の知識だけではなく、財務や経済についても知識が身につくので、キャリアアップなどにも活用できるのがポイント。
一種・二種とありますので、キャリアアップを目指すのであれば一種に挑戦してみることをおすすめします。
危険物取扱者
化学薬品や石油など、危険物を扱うことを照明できる資格です。取り扱う危険物によって、甲種、乙種、丙種の三種類に分かれていることも特徴。
化学工場やガソリンスタンド、石油貯蔵タンク、タンクローリー等の施設には、危険物を取り扱うために必ず危険物取扱者を置かなければいけません。そのため、危険物とは言え直接生活に関わる部分ですので、有資格者のニーズは高く、活かしやすい資格であると言えます。
旅程管理主任者
旅行会社が企画するツアーや団体旅行に同行する主任添乗員に求められる資格です。ツアーコンダクターとも呼ばれます。旅程の管理などツアーを企画する際に重要な部分になり、主任添乗員として仕事をする際に必須になります。
国内旅行のみ添乗できる「国内旅程管理主任者」と、国内に加え海外旅行の添乗も可能な「総合旅程管理主任者」の2種類がありますので、もし迷う場合は「総合旅程管理主任者」の取得をおすすめします。
「どの場面でも使いやすい資格」「自身のキャリアプランによって取得したい資格」
さて、ここまでおすすめの資格やスキルをお伝えしてきましたが、優先順位としてどこから手をつければいいか悩むところだと思います。もちろん上から全てということも可能ですが、時間も費用もかかりますので、ある程度絞って進めていくことをおすすめします。
以下では、「どの場面でも使いやすい資格」と「自身のキャリアプランによって取得したい資格」を分けております。「どの場面でも使いやすい資格」については、どの業界に入ろうとも必要とされるケースが多く、汎用性の高い資格を選択。「自身のキャリアプランによって取得したい資格」では、今後進みたい業界やキャリアを考えた時に必要になる可能性の高い資格、という感じに分けております。
悩まれる場合は、自身がどちらを優先したいのか?少し検討してみて頂ければと思います。
- MOS(Microsoft Office Specialist)
- TOEIC / TOEFL
- 日商簿記検定
- 秘書検定
- 医療事務
- 介護初任者研修
- アロマセラピスト
- ファイナンシャルプランナー
- 宅地建物取引士
- 通訳案内士
- CAD利用者技術者試験
- インテリアコーディネーター
- 管理業務主任者
- 証券外務員
- 危険物取扱者
- 旅程管理主任者
資格がなくても有利に転職活動を進めるには?
資格があるとたしかにアピールする部分が増えるので、有利に進められる可能性はあります。しかし、資格がなくても自身のセルフティアップを行うことは可能です。セルフティアップをすることで、転職を有利に進めることができるでしょう。
現職で高い実績を出す
社内で賞を授賞したり、目標に対して100%以上の実積を出したり、世に出ているサービスに深く関わったり…現在の企業で大きな案件などを成功させることは、転職をする際にも大きなアドバンテージになります。
転職ではどの企業も即戦力になる人材を求めています。そのため、前職での実績はとても分かりやすい判断材料になりますので、好成績を上げることで有利に転職活動を進めることができるでしょう。
また、資格より実務経験重視という企業も少なくないので、今の会社で頑張ることで次に繋がりやすいということは言えると思います。
自身の市場価値を把握する
自分の能力が社会全体でどのくらいの価値があるのか?把握できていない方も多いと思います。自身で考えていた以上に市場価値が高く、好条件での転職が成功したなんて話もよく聞きます。ですので、まずは自身の市場価値についてしっかり把握していきましょう。
市場価値を知る方法として、転職エージェントに聞くことをおすすめします。エージェントはプロのアドバイザーなので、現状どのくらいの市場価値があるのか把握する際にもってこいの相手になります。
無料で登録ができますので、まずは電話からでも相談してみると良いでしょう。
本業以外でスキルを磨く
ここに関しては副業などをOKとしている会社に限りますが、本業以外でスキルを磨くということも一つ大事な要素になります。
現状の会社とは関連の無いスキルであっても、転職先でアピールできるものも多くあるので、資格ではない実際のスキルを身に付けることも大事になります。
まとめ
ここまで、おすすめしたい資格&スキルについて見てきました。
転職において資格が必ずしも結果に直結するわけではありません。しかし、資格やスキルを身につけることで自身のセルフティアップに繋がることは間違いありません。また、資格やスキルではなくとも実務で良い成績を出すことも、次に繋がる大事な要素になります。
「どの場面で?」「どのような形で使うか?」は選ばれる道によっても異なってくると思います。ただ、どれを学ぼうとも自身の知識として身につけたものは強みになりますので、一つずつ着実に身につけていくことをおすすめします。